チーズにはさまざまな分類方法があるが、雪印メグミルクのホームページで紹介されている分類が一般的だ。

 ナチュラルチーズを、フレッシュ、白カビ、青カビ、ウォッシュ、シェーブル、セミハード、ハードの7タイプと、プロセスチーズに分けている。

 クリームチーズはフレッシュ、カマンベールは白カビ、ゴーダはセミハード、コンテやパルミジャーノ・レッジャーノはハードに分けられる。シェーブルはヤギの乳で作られるチーズの総称だ。

 もとになっているのはフランスの分類法で、フレッシュに分けられているが製法の異なるモッツァレラなどイタリアの繊維状のチーズをパスタフィラータというタイプにする分け方もある。

 ナチュラルチーズの基本的な作り方は、まず乳に乳酸菌や「レンネット」と呼ばれる酵素を加えて発酵させると、豆腐状のかたまり「カード」(凝乳)が現れる。これを細かく切っていくと、液体がしみだす。この液体は「ホエー」(乳清)と呼ばれる。

 ホエーを排出させ、数時間から半日程度、型に入れて成型したものが、熟成していないグリーンチーズ。フレッシュタイプはこの段階で出荷する。

 形を整えたカードは、塩を加えたり塩水につけたりして熟成させる。ハードやセミハードのタイプでは、カードをプレスして水分を抜く工程がある。白カビタイプは表面にカビを植え付け、青カビタイプは内側に繁殖させる。熟成期間は、水分が多くソフトなタイプでは数日間、ハードタイプでは2年程度に及ぶものもある。

 ナチュラルチーズ1種類または数種類を細かく砕き、加熱・溶融して固めたものがプロセスチーズだ。

 ナチュラルチーズに含まれる微生物は生きており、放っておくと熟成がどんどん進むのに対し、プロセスチーズは加熱により微生物が死滅しているため熟成は進まない。日持ちするのはそのためだ。

 欧州には、その地域特有の原材料や伝統的な製法で作られる農産物を守るため、規定に従って作られ、審査に合格した製品にだけ認証マークを付けることができる欧州連合(EU)のAOP(原産地呼称保護)制度がある。チーズもその対象だ。

 ただ、欧州各国ではAOPが始まる前から独自に同様の取り組みを進めており、フランスのAOC(原産地呼称統制)などが知られている。EUのサイトによると、AOPを取得しているチーズは46種類ある。

地域に根ざしたチーズ、続々

 チーズについて知っておくと役に立つことを、札幌市でチーズ・ワインスクールを主宰する石川さんに聞いた。

 カマンベールチーズって、国産品も見かけますよね。でもカマンベールというのは、フランスの村の名前なんですよ。ロックフォールも、ゴーダも、そう。多くのチーズの名前には地名が使われている。

 カマンベールも本来、カマンベール村で作られている白カビチーズの固有名詞です。だから日本のチーズを「カマンベール」と名乗って売るのは、中国のお米を「南魚沼のコシヒカリ」として売るのと同じことで、カマンベール村の人は「なんで勝手にまねするの」という気持ちになります。

 でも、あまりにも有名になりすぎて世界中でまねされているから、今さらどうしようもない。そこでAOCを取得する時に、「カマンベール・ド・ノルマンディ」を正式名称にしたのです。カマンベール村はノルマンディー地方にあるからです。

 英国のチェダーチーズも、「ウェスト・カントリー・ファームハウス・チェダー」が正式名称。イタリアのモッツァレラは地名ではありませんが、正式名は「モッツァレラ・ディ・ブッファラ・カンパーニャ」です。「ブッファラ」は英語では「バファロー」、水牛のことです。水牛の乳でつくったことまでを名前に含めているわけです。

 コンテはそのまま、「コンテ」が正式名称。フランスで生産量が断トツに多いチーズで、まねしたら大変な問題になるとわかっているから、だれも使いません。

 そんなわけで、「カマンベール」は「ド・ノルマンディ」まで付けなければ名乗っても構わないのですが、日本のチーズ工房はその先へ進んでいます。これだけ白カビチーズが普及したら、もう「カマンベール」という言葉は使わなくていいんじゃないか、と。

 北海道・十勝地方の「共働学舎新得農場」は、カマンベールタイプの白カビチーズに「雪」という名前をつけていますし、家族経営をしている北海道・オホーツク地方の「チーズ工房アドナイ」は、「SAYURI」と娘さんの名前をつけています。

 ナチュラルチーズにはいろいろな菌が生きています。そのおかげで熟成し、食べ頃を迎え、やがて腐っていく。人間にとっておいしい状態を熟成とか食べ頃といい、おいしくなくなった状態を腐ったというのです。

 加工食品には、賞味期限や消費期限が表示されています。過ぎたら売れなくなるので、期限が近づくと割引になったりする。期限が過ぎたチーズを「食べられますか」とスクールで質問されることがあります。

 昔は期限なんて書かれていなくて、製造年月日でした。そこから想像したんです。食べられるかどうか、においをかいだり、ちょっと味見したりして、自分で判断していた。期限がきたら捨てる、というのでは人間の味覚も嗅覚(きゅうかく)もどんどん落ちていきます。

 私は、賞味期限がきていても食べられれば食べるし、きていなくても食べられないものは食べない。期限がきたチーズを「食べられますか」と聞かれたら、それはあなた自身が判断すること、と答えます。

 生産者は自分のチーズの食べ頃を知っているから、それをもとに賞味期限をつけます。熟成の進み具合は保存の状況によって変わるので、たいていは少し手前に設定します。ところが多くの人は、賞味期限が先のものを欲しがるんです。期限が先であるほど、フレッシュでおいしいと思っている。実際には、期限がくる頃が食べ頃のチーズも多いんですけどね。

 チーズって、出汁(だし)と同じなんです。ハードタイプのチーズを食べた時、舌の上でジャリジャリする食感のもの、あれはアミノ酸です。ミルクの中のたんぱく質が固まって、水分が抜けて熟成することによってアミノ酸に変わる。かつお節と同じようなものです。だから、みそ汁とかスープに粉チーズを入れる、という食べ方を提案します。

 チーズを食材と考え、ハーバーグとかギョーザをこねる時に交ぜてもいい。ひき肉を使う料理には何でも合います。ゴーダでもカマンベールでもいいので、細かく切って交ぜると、固くならない。チーズが溶けたあとに隙間ができるので、やわらかくなるのです。

 魚をホイル焼きにする時、ピーマンやタマネギと一緒に入れてもおいしい。チーズはうまみのかたまりで、たいていの料理がおいしくなるので、イタリアでは未熟な料理人はチーズを使え、と言われるほどです。

 コーヒーや紅茶など牛乳を入れて飲むものはすべて、チーズと合います。コーヒーや緑茶は苦み、渋みがあるから、クリーミーなものが合う。ほうじ茶はハードタイプがいいですよ。ポリポリとした食感が、おせんべいに近いからでしょうか。