台湾が東京電力福島第一原発事故から続ける福島など5県産の食品禁輸について、解除を拒んだ2018年の住民投票の効力が11月末で切れた。日本政府は早期に解除を実現させ、同様に禁輸を続ける中韓にも働きかけたい考え。ただ、蔡英文(ツァイインウェン)政権は別の食品問題で世論の反発を受けており、慎重姿勢を崩していない。

人気商品も輸入できず…

 台北市で日本産食品を中心に扱う小売店には、日本産の菓子や米、調味料などが並ぶ。店員によると、禁輸措置が始まってから、台湾で人気だった一部のおまけ付き菓子が輸入できなくなった。店員は「今も客からの問い合わせは多い」と言う。

 日本酒や調味料を輸入してきた台湾の食品商社「三商食品」によると、事故後は家庭向けの小瓶ソースや弁当用の小袋入りマヨネーズなどが禁輸になった。メーカーの工場が対象5県にあるためという。担当者は「原材料の一部が5県産でも、商品を廃棄させられてしまうほど検査は厳しい」と説明する。台湾の消費者の懸念を考慮し、禁輸対象にはなっていない酒も取り扱いを控えている状態だ。

 台湾は2011年3月の原発事故後、福島、茨城、栃木、群馬、千葉各県産の酒類を除くすべての食品を禁輸とした。5県以外からの輸入でも、産地証明書の発行手続きを求めている。

 緩和に向けた動きもあったが、18年11月の住民投票で有権者の多数が禁輸の継続を選択。当局は2年間は世論の意向に反する政策はとれなくなったが、今年11月末でその縛りが解けた。

香港、中、米に次ぐ輸出先

 日本政府によると、台湾は人口が約2350万ながら、日本の農林水産品・食品の輸出先として、10年は香港、米国に次ぐ3位(609億円)。昨年は香港、中国、米国に次ぐ4位(904億円)で全体の約1割を占める。リンゴや酒類、ソースなどの調味料の輸入が多い。

 日本政府は30年に農林水産品の輸出額を今の5倍以上の5兆円に増やす目標を掲げる。台湾は日本食へのなじみも深く、成長が見込める地域の一つ。同じく事故後に禁輸を続ける中韓に解除を迫る狙いからも、様々なルートで台湾側に全面解禁を求めてきた。農林水産省の担当者は、台湾による禁輸が全面撤廃されれば、輸出時の手続きの簡略化などで5県産以外の輸出にも弾みが付くとみる。