外食産業は新型コロナウイルスの影響をもろに受けました。営業自粛で売り上げを失い、再び感染者が増えるなか客足も戻らず、危機的状況になっています。私たちの食生活を支える産業はこれからどうなるのか。毎年多くの人材を出している調理師学校とその生徒たちを取材しました。

 東京都渋谷区にある「服部栄養専門学校」を6月下旬に訪れた。真っ白なコック帽の生徒たちが食材を刻んだり炒めたりして、実習に取り組んでいる。この春の新入生が通学できるようになったのは6月初め。5月下旬に緊急事態宣言が解除されてからのことだ。

 安倍晋三首相が2月下旬に出した休校要請は専門学校にも及んだ。生徒らは落ち着かない時を過ごしてきた。

 茨城県在住で実家が農業だというHさんには、地元食材をいかした飲食店を将来出す夢がある。「祖父母と暮らしているので自分が感染させてしまわないか心配だった」と話す。

 学校側は3月の時点で、新入生も含め通学が難しいと判断。生徒約900人がオンラインで在宅学習できるようにした。パソコンやスマートフォンなどの端末があるかどうかや、通信環境が整っているかなどを確かめ、必要に応じて端末などを貸し出した。オンラインで生徒と教師がやりとりできる仕組みを5月の大型連休明けからスタートさせたという。

 6月上旬に通学できるようになってからも「密」を避けるため、通常40人のクラスを20人に減らしたり、オンライン授業を続けたりしているという。

 生徒側には戸惑いもあるようだ。2年制コースの2年目で製菓専攻のAさんは「実習も座学もやり方が変わり慣れていけるか心配」と漏らす。将来はメディアなどを通じて料理を紹介する仕事に就きたいという。

 飲食業界の状況を、料理評論家としても知られる服部幸應校長は心配している。「知り合いのオーナーたちに『どうだ』と聞くと、『うちはもうつぶれるよ』とか『家賃が高すぎて持ちこたえられない』とかそういう話が多い」