新型コロナウイルスの影響で、首都圏などで酒類を提供する飲食店への休業要請が続く中、岩手県一関市の「世嬉(せき)の一(いち)酒造」がノンアルコールビール「禁酒時代のヒール」を製造し、緊急販売に乗り出した。商品名には「飲食店での飲酒がまるで悪いことのようになり、ビールがヒール(悪役)になってしまっている」との皮肉を込めた。東京や関西の飲食店から注文が相次いでいる。
 同酒造は4月下旬、緊急事態宣言で酒類を出せない首都圏の飲食店から、「客に出すためのノンアルコールビールを造ってほしい」との要請を受け、急きょ製造に乗り出した。ホップの苦みに岩手産のリンゴ果汁をブレンドし、ペールエールのようなフルーティーな味に仕上げた。
 業務用に800リットルを製造し、10リットルと15リットルのサーバー用容器に入れて15の取引先に出荷したところ、「瓶でも販売したい」との希望が寄せられ、慌てて米国の禁酒時代の風景をモチーフにしたラベルも試作。近く瓶タイプも販売する予定だ。考案した社長は「飲食店の皆様にはなんとしてでもこの苦境を乗り切ってほしい」とエールを送っている。