富士山の方を向いて、みんなでおにぎりをパクパク。「富士山(223)の日」の23日、そんな催し「富士山の『日』祭り」が山梨県内各地で初めて開かれた。主催者らはこの祭りを県外にも広め、文化として定着させようと狙う。節分の恵方巻きを超えられるか――。
 「3、2、1、いただきまーす」。日付に加え時刻でも「2・23(フジサン)」になる昼過ぎの12(午後0)時23分、富士吉田市新屋の「道の駅富士吉田」で、堀内茂市長の掛け声を合図に親子連れらがおにぎりをほお張った。視線の先には、上部に雲がかかった富士山がどっしりと構えていた。
 3人の子どもを連れて参加した忍野村さんは「毎日富士山を見られることに感謝しながら、いただきました」。長男君は「おいしかった。毎年食べたいな」と話した。
 この日午前中、富士山1周サイクリングの途中に道の駅を訪れておにぎりを食べた静岡県富士宮市の医療機関職員さんは「富士宮からの富士山も好きだが、湖越しの山梨の富士もいい。富士山関係でいろんなイベントがあるのはうれしいね」と言って自転車にまたがった。

今年から始まった「富士山の『日』祭り」

 「富士山の『日』祭り」は、富士山の恩恵や当たり前の日常に感謝するきっかけにしようと、今年から始まった。名称は、8月に富士吉田市であり、日本三奇祭に数えられる「吉田の火祭り」にかけている。
 各地で無料で配られたおにぎりは、祭りの実行委員会が富士山の高さにちなんで3776個、趣旨に賛同した富士吉田市が2千個を用意した。
 この日は午前10時から富士河口湖町船津の富士山世界遺産センターでオープニングセレモニーがあり、富士山の清掃活動でも知られる登山家の野口健さんが「富士山から世界に向けて、平和のメッセージを届け続けたい」とのメッセージを寄せた。
 この会場でもおにぎりが配られ、富士山を見ながら食べた同町さんは「世界遺産登録10周年に立ち会えてよかった」。長女さんは「みんなと食べておいしかった」と話していた。