リンは、カルシウムとともに働き、骨、歯などの硬組織を作ります。
生物にとって必須の元素(無機質)の一つです。
また、リンには、次のような働きがあります。
- 血液中のリン酸カルシウムは、酸やアルカリを中和します。
- リン脂質、核酸の成分となります。
- ビタミンB1、ビタミンB2などと結合して補酵素となります。
- 糖質代謝を円滑に進めます。
- ATP(アデノシン三リン酸)など高エネルギーリン酸化合物を作り、エネルギーを蓄えます。
リンの主な性質
リンは、成人体内に約0.5kg(成人体重の約1%)含まれます。
そのうち80%はリン酸カルシウム、リン酸マグネシウムとして骨、歯を作ります。
残りは、有機リン酸化合物として、筋肉、脳、神経、肝臓、肺臓その他のすべての組織に含まれます。
リン欠乏症
リンは食品中に充分含まれていますので、欠乏することは滅多にありません。
ただし、ビタミンDが不足すると、利用率が低下します。
リンが不足すると、歯が弱くなります。
また、骨折しやすくなります。
リン過剰症
摂取量が多過ぎますと、カルシウムの吸収を悪くします。
その他、次のような症状の可能性があります。
- 骨軟化症
- くる病
- 骨の石灰化の遅延
- 副甲状せん機能障害
- 腎臓機能障害
リンを多く含む食品
- 牛乳、粉乳
- 卵黄
- 獣鳥鯨肉類
- 小魚、魚介類
- 胚芽
- ぬか
- 豆類、豆腐
- サツマイモ、ジャガイモ
リン摂取目安量
- 成人男子 1,050mg/日
- 成人女子 900mg/日
リン摂取上限量
- 成人男子 3,500mg/日
- 成人女子 3,500mg/日
リンの摂取をオススメする人
- 魚や肉をあまり食べない人
- 疲れやすい人
- ストレスの多い人
メモ
清涼飲料水、カップめん、スナック菓子などには、各種のリン酸カルシウムが使われています。
こういったものを多く食べますと、リンを過剰摂取する危険性があります。
血液中のリンとカルシウムの比率は、3:10~7:10で保たれています。
この比率が崩れてリンが多くなりますと、比率を維持するために骨組織のカルシウムを血中に取り込むようになります。
その結果、骨がもろくなります。